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秋はひやおろしの季節。ひやおろしを学ぼう! 2015.09.17

冬に造られ、春先に一度火入れされ、ひと夏蔵で眠り、秋に出荷される日本酒をひやおろしと呼びます。短期熟成を経たひやおろしは、新酒と比べて円熟味が増し、よりまろやかな味わいになります。今回はそんなひやおろしについてご紹介します。

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ひやおろしの語源と背景

日本酒は通常、火入れと呼ばれる加熱殺菌を二度行います。殺菌と酵素の働きを止めるために搾った直後に一度行い、殺菌と出荷後の品質安定化のために瓶詰め時にもう一度行います。しかしひやおろしは前述の通り、搾った直後のみにしか火入れを行いません。では、このひやおろしはどの様に生まれたのでしょうか?

ひやおろしが誕生したのは江戸時代です。冬に搾った新酒が劣化してしまわないように春先に一度火入れを行い、大桶で夏が過ぎるまで貯蔵されました。そして、秋の訪れとともに二度目の火入れを行わない「冷や = 生」のまま大桶から樽に「卸し」出荷されました。このことから、ひやおろしと呼ばれるようになりました。

二度目の火入れを行わなかったことがひやおろし誕生のきっかけとなりましたが、これには大きく2つの要因があると考えられています。まず、秋になると外気の温度が落ちることで、酸化や臭みの原因となる火落ち菌と呼ばれる一種の細菌が繁殖する危険性が少なくなります。また、短期熟成の賜物である独特の風味をそのまま消費者に届けたいと言う造り手の想いもあったと言われています。


ひやおろしの味わい

新酒は、温度が高く熟成が進みやすいひと夏を蔵で過ごすことにより大変身を遂げます。短期熟成を経ることで味わいを構成する成分が混じり合い、旨味が増すとともにまろやかになり、秋の味覚と抜群の相性を見せると言われています。まさに秋ならではのお酒なのです。

しかし、ひやおろしと言ってもバリエーションは豊富です。まず、ひやおろしの味わいはお酒の貯蔵環境によって大きく左右されます。冷蔵がしっかりと効いた環境であれば、温度変化が少ない分、熟成も緩やかになり、フレッシュ感を程良く残した味わいになります。また、数ヶ月の差ですが、熟成期間も味わいに大きく関わってきます。9月に出るシーズン初めのひやおろし (夏越し酒) は濃醇な味わいの中にも軽快さを併せ持っていますが、11月に出るシーズン最後のひやおろし (晩秋旨酒) は旨味がたっぷりと乗った濃醇な味わいとなります。


ひやおろしの飲み方

夏酒はキンキンに冷やして爽快感を楽しむお酒なのに対し、ひやおろしは幅広い温度帯で楽しめるお酒です。秋刀魚や松茸の炭火焼を常温のひやおろしで合わせたり、鍋のようなアツアツの料理を燗につけたお酒と楽しむことで季節感も感じられます。一年の今の時期にしか味わえないひやおろしを存分にお楽しみください!

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