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日本酒は進化した!
なぜ今日本酒がこんなに熱いのか 2015.08.21

皆さんは日本酒に対してどのようなイメージを持たれていますか?「おやじ臭い」や「悪酔いする」、「赤ちょうちん」などのマイナスイメージが強かった日本酒ですが、最近では「フルーティー」や「飲みやすい」と言われるようになり、若い世代における人気も徐々に高まってきています。92年に等級制度から特定名称酒制度へと移行するなど、システム的な面でも大きな移り変わりを経ましたが、それ以外の部分で一体何が日本酒をここまで変えたのでしょうか?日本酒の進化について探ってみました。


味わいの飛躍的な向上と味わいの幅の広がり

近年、日本酒の味わいは驚くべき進化を遂げてきました。過去の日本酒の醸造は、杜氏の五感に多くを頼っていました。しかし、調子によってはプロの杜氏でさえ五感にブレが生じてしまうこともありました。そこで、新しい醸造機械を導入するとともに、より正確なデータを酒造りに活かし、質の高いお酒を安定して醸す酒造が増えました。これは決して杜氏の仕事や人の技を軽視すると言うことではなく、重要な工程では人の官能を活かしつつも、人の手では正確に管理しきれない工程には機械を導入するということです。お酒を貯蔵する環境設備にも積極的に投資を行う酒造が多くなり、吟醸酒などのデリケートな味わいのお酒の劣化を防ぐため、0度以下での低温貯蔵なども行われるようになりました。また、お酒が最適な状態でお客様に届く流通システムも、クール便の広がりとともに確立されました。結果、多くの酒造は今の日本酒が一番美味しいと声を揃えます。

また、今まで以上に色々なタイプのお酒が注目されるようになりました。水の代わりにお酒で仕込まれた貴醸酒。白麹を使い、クエン酸を多く生成させたお酒。米の磨きをあえて落とし、どっしりとした味わいに仕上げられたお酒。さらには地元の酵母や自社で育てた酒米などを使い、個性的なお酒を醸す酒造も徐々に増えています。以前はほぼ「淡麗辛口」のみが並んでいた居酒屋のメニューも、今では様々な味わいのお酒が並ぶようになりました。

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飲みやすい日本酒のジャンルが誕生

今までの日本酒の多くはアルコール度数が15~18度とワインより高く、お酒の弱い人には敬遠されがちでした。しかし、醸造技術の進化とともに飲みやすい日本酒のジャンルが誕生しました。その一つがご存知スパークリング日本酒。アルコール度数の低さと甘めな味わいから、特に若い女性に高く支持されています。もう一つの新たなジャンルが低アルコール日本酒です。ワインと同等のアルコール度数(12~13%)、もしくはそれ以下のものがこのジャンルの特徴です。優しい甘味にフルーティーな香りのするものが多く、今まで日本酒をあまり飲んでこなかった人達を驚かせています。

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思わず買ってしまいたくなるようなラベルがいっぱい!

従来の日本酒のラベルには銘柄名が大きく漢字で書かれたものが多く、またどれも茶色か緑色の瓶に貼られていたことで、必然的に同じような見た目になってしまっていました。しかし今ではラベルに英語や色鮮やかな絵を使うことで、新しいターゲット層にアピールしたり独自の個性を主張する酒造が増えてきました。また、ボトル加工技術が改善されたことで、水色や透明色のような明るい印象の瓶も増えました。

そして、味や品質の向上に重きを置きつつも、より多くの消費者が手軽に商品を手に取れるよう、デザイナーを採用して個性あふれるラベル作りを行う酒造が増えてきています。例えば兵庫県にある富久錦は、ラベルのデザインをデザイナーの北川一成さんが担当しており、ラベルに描かれた富久錦のロゴは一見日本酒に見えない、特徴的なものになっています。また、『作』で知られる清水清三郎商店の地元向けブランド『鈴鹿川』のラベルには鈴鹿の伝統工芸である伊勢型紙のデザインがあしらわれています。この伊勢型紙はルイ・ヴィトンやフェンディのデザインにも影響を与えたと言われているもので、伝統を守りつつも、新しい現代のスタイルに合ったラベルに仕上がっています。

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海外のダイニングシーンで認められた日本酒

日本酒は今まで居酒屋で飲んだり、和食と一緒に楽しむ飲み物として愛されてきました。今でもこのトレンドが主流ですが、世界のトップに立つ料理人の間では和食以外の料理と日本酒を合わせるというコンセプトが徐々に浸透してきています。例えば、フレンチの巨匠ジョエル・ロブション氏やピエール・ガニェール氏は早くから日本酒の食中酒としての適合性に目をつけ、数回にわたり日本酒とフレンチのペアリングディナーを成功させています。

また、日本酒は和食以外の料理とペアリングをするには少しアルコールが強すぎるという意見が多くありました。そのような意見に耳を傾け、食中酒としての幅を持たせるために、アルコール度数を15度以下に落とした日本酒を醸す酒造も目立つようになってきました。ワイン慣れした消費者やワインを取り扱うソムリエにアピールし、日本酒の食中酒としての可能性を知ってもらうための試みです。

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これからも日本酒の進化から目が離せない

日本酒の進化はこれからも止まることはないでしょう。そしていつの日か、どんなレストランでも取り扱ってもらえる日本酒、どんな消費者にも楽しんでもらえる日本酒になるのではないでしょうか?これからの日本酒の発展に期待しましょう。